タッチ決済による乗車サービスをすでに導入しているJR九州、福岡市交通局と西日本鉄道は、利便性をさらに向上するため、利用可能エリアの拡大や割引施策など相次いで内容を拡充します。
「1日乗車券」と同額で乗り放題に
タッチ決済機能付きクレジットカードなどで交通機関に乗車できるサービスは海外で広く普及していますが、国内でも導入が進んでいます。福岡エリアでいち早く採用したのは福岡市地下鉄で、2022年5月31日に7駅で実証実験を開始しました。七隈線の博多駅延伸開業に合わせて2023年3月27日(月)から対象駅を全36駅に増やすとともに、取り扱い決済ブランドも拡大しました。
全線での対応後は、特に沿線住民の通勤時間帯での利用や、インバウンド観光客の利用が伸び続けているそうです。タッチ決済の利用数は昨年度平均の7倍以上に拡大し、1日あたりの乗降が5,000件を超える日も増えているとのことです。
7月14日(金)からはマリンメッセ福岡(福岡市博多区)など福岡市内の4会場で「世界水泳選手権2023福岡大会」が開催されます。多くの来訪者が見込まれる一大イベントを前に、地下鉄で7月7日(金)からタッチ決済の新たな割引サービスが始まっています。
これは、同一のカードで複数回乗車した場合の1日の請求料金合計を最大640円とし、640円を超えた部分の支払い不要とするというものです。この金額は地下鉄1日乗車券のおねだんと同じで、事前に手続きや購入を行う手間が省ける、鉄道としては全国初のサービスです。
(JR九州のタッチ決済に対応する駅の路線図、福岡市地下鉄・西鉄バスの新サービスなど詳細は下の図表を参照)
西鉄バスにもタッチ決済を初搭載
2022年7月15日から天神大牟田線の主要7駅でタッチ決済乗車サービスを提供している西鉄は、乗合バスでもタッチ決済での乗り降りを可能とする実証実験に初めて取り組みます。対象路線は博多駅〜福岡空港国際線間(太宰府ライナーバス「旅人」は対象外)で、7月10日(月)から国際ブランドカードを専用の読み取り器にかざすだけで利用できるようになっています。
西鉄は、インバウンド観光客のさらなる増加に期待しており、天神、博多駅、ウォーターフロント地区を主に周回する連節バス「Fukuoka BRT」にも8月をめどにタッチ決済導入を予定しています。
一方、JR九州は2022年7月22日から鹿児島本線の博多駅〜香椎駅間でタッチ決済サービスの実証実験を行ってきましたが、対象駅をこれまでの5駅から50駅へと一気に拡大します。
7月12日(水)からは鹿児島本線の門司港駅〜久留米駅間の全駅と、香椎線の海ノ中道駅でタッチ決済が利用可能となっています。タッチの読み取り端末は改札機一体型のものや、ポール型専用端末などのバリエーションがありますが、いずれの場合も入場時と出場時にかざすだけで列車に乗ることができます。
いずれの社局も実証実験期間を2024年3月末までと定めており、日常利用やインバウンドを含む観光客の利便性向上に寄与するかどうかの検証が引き続き進められます。
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